
糸巻きボール:ゴルフの歴史を紐解く
球技であるゴルフの歴史を紐解くと、その始まりには「糸巻き球」と呼ばれる興味深い存在がありました。文字通り、中心部に糸をきつく巻き付けて作られたこの球は、14世紀頃にその姿を現しました。それ以前は「羽根球」と呼ばれる、鳥の羽根を詰めた球が用いられていました。しかし羽根球は製造に手間がかかり高価であったため、手軽に作れて大量生産できる糸巻き球は、まさに革新的な発明だったのです。
糸巻き球に使われる糸は、主に羊毛や木綿から作られた糸でした。熟練した職人が、丹精込めて手で巻き上げていくため、同じものは二つと無い、個性豊かな球が出来上がりました。糸の巻き方、密度、材質など、一つ一つの球に微妙な違いがあったことでしょう。そのため、飛び方や転がり方にもそれぞれ個性があり、現代の規格化された球とは全く異なる感触だったと考えられます。
この糸巻き球の登場は、ゴルフという競技を大きく変えました。それまで一部の限られた人々だけが楽しんでいたゴルフが、より多くの人々に親しまれる機会を得たのです。糸巻き球は羽根球に比べて安価で入手しやすかったため、一般の人々にもゴルフを楽しむ扉が開かれました。人々は手作りの、個性豊かな球を手に、芝生の上で球を打ち、競い合ったことでしょう。当時のゴルフの様子を想像すると、現代のゴルフとはまた違った風景が広がっていたに違いありません。どんな風に競技を楽しんでいたのか、どのようなルールでプレーしていたのか、歴史の奥深くに思いを馳せるのも楽しいものです。