
二つのグリーン:メインとサブ
玉を入れる最終地点である、一面に緑が広がる場所、それがグリーンです。芝が緻密に刈り込まれ、滑らかな表面を保つ特別な場所ですが、日本では一つの穴に二つのグリーンを持つ場所が、かつてはたくさんありました。なぜこのような、日本ではよく見られた光景が生まれたのでしょうか。
その理由は、日本の気候と深く関わっています。高温多湿な日本の夏は、芝にとって過酷な環境です。毎日多くの打ち込みを受け続けるグリーンは、傷みやすく、すぐに良い状態を保てなくなってしまいます。そこで考え出されたのが、二つのグリーンを交互に使うという工夫です。一つ目のグリーンを使っている間に、二つ目のグリーンを休ませ、しっかりと手入れをする。そして、二つ目のグリーンを使っている間に、一つ目のグリーンを回復させる。このように交互に使うことで、常に状態の良いグリーンでプレーができるようにしていたのです。まるで、舞台役者が、表舞台と裏舞台を交代で使うように、二つのグリーンは交代で選手たちを迎えていました。
メインのグリーンとサブのグリーン、二つのグリーンを用意することで、芝生への負担を減らし、一年を通して質の高いプレー環境を提供することが可能になりました。近年では、芝の種類の改良や管理方法の進歩により、一つのグリーンでも十分な管理ができるようになってきました。そのため、二つのグリーンを持つ場所は徐々に減ってきています。海外では、そもそも二つのグリーンを持つ場所はほとんどありません。日本の独特な気候と、それに対応するための知恵が、二つのグリーンという珍しい文化を生み出したと言えるでしょう。まるで、日本のゴルフの歴史を語る、緑の証人のように、今もその名残を留める場所もあります。