再ショット

打ち直しを意味する「マリガン」。ゴルフをたしなむ方なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。公式の競技では認められていませんが、仲間内のプレーなどで最初のティーショットを失敗した際に、同じ場所からもう一度打ち直せる、非公式のルールです。 ゴルフには厳しい規則も多い中、マリガンは少しの遊び心と寛容さをもたらす要素として、多くの愛好家に親しまれています。その始まりについては様々な話がありますが、中でも有力とされているのが、アイルランド系カナダ人のゴルフ好き、デビッド・マリガン氏に由来する説です。 時は1920年代、マリガン氏はいつものようにゴルフを楽しんでいました。しかし、最初のティーショットを失敗してしまい、悔しさのあまりもう一度打ち直したいと仲間にお願いしたそうです。その申し出が仲間内で快諾され、その後もマリガン氏とプレーする際には同様のルールが適用されるようになりました。これが次第に他のゴルフ場にも広まり、いつしか「マリガン」と呼ばれるようになったと言われています。 厳密な規則で知られるゴルフにおいて、マリガンは独特の文化と言えるでしょう。公式の試合では使えませんが、プライベートなラウンドや仲間内のコンペで笑顔と和やかな雰囲気を生み出しています。 さらに、近頃は慈善活動にも一役買っています。例えば、チャリティーを目的としたゴルフ大会では「マリガン券」を販売し、その売り上げを寄付金に充てるといった活用方法も見られます。 このようにマリガンは、単なる打ち直しにとどまらず、ゴルフをより多くの人が楽しめるものとする、心温まる慣習として、その存在感を増しているのです。