アンカリング

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中尺パター:ベリーパターの興隆と衰退

腹パターとは、その名の通り、お腹に握りの端を近づけて構える中尺パターのことです。標準的なパターに比べて柄が長く、おへそのあたり、あるいはその少し上に握りの端が来るように作られています。この長さのおかげで、パターを振り子のように動かしやすくなるという利点がありました。 一般的なパターでは、手首の動きが打つことに影響を与えやすく、距離のつかみ方や方向が不安定になることがあります。腹パターを使うことで、手首の動きを抑え、より安定した打ち方ができると考えられました。そのため、特に短いパットで安定感を欠くアマチュアの打ち手達を中心に、広く使われるようになりました。 長いパターもありますが、腹パターは長いパターよりも柄が短く、握りの端があごの下に来ることはありません。長いパターは、さらに手首の影響を取り除き、体全体を使った打ち方を可能にするものです。標準的なパターと長いパターの中間に位置するのが腹パターと言えるでしょう。 腹パターを使うことで、パッティングの際に生じる手首の余計な動きを最小限に抑えられます。これは、パターの軌道が安定し、狙った方向へ正確にボールを打ち出せることに繋がります。特に、短い距離のパットでは、わずかな手首の角度の違いが大きな誤差を生むため、腹パターの安定性は大きな武器となります。 しかし、腹パターは体に固定して打つため、繊細なタッチや距離感を出しにくいという側面もあります。そのため、長い距離のパットや、傾斜の強いグリーンでは、使いこなすのが難しいと感じる打ち手もいます。また、慣れないうちは、アドレス時の握りの位置や体の向きに注意が必要で、練習を重ねて最適な構えを見つけることが重要です。 道具に頼るだけでなく、基本的なパッティングの練習も怠らないようにしましょう。
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長尺パター:進化と現状

ゴルフ競技において、独特な形状を持つ道具の一つに長尺パターがあります。その名の通り、一般的なパターよりも長い柄を持つことが最大の特徴です。この道具の歴史は意外と古く、一九六〇年代には既にその姿を見ることができました。誕生のきっかけは、腰に痛みを抱える競技者の存在でした。前かがみの姿勢で打つことが負担となる彼らにとって、かがまずに球を打てる道具はまさに福音でした。 一九八〇年代後半から一九九〇年代にかけて、長尺パターは再び脚光を浴びることになります。その理由は、独特の安定感にありました。多くの熟練者がこの道具を使うようになり、当時の主流だった打ち方と組み合わせることで、大きな効果を発揮しました。その打ち方とは、道具の柄の端を体に固定する「固定打ち」と呼ばれる方法です。柄の先を胸や顎にくっつけることで、道具の動きが安定し、狙い通りの場所に球を転がせるという利点がありました。 長尺パターと固定打ちの組み合わせは、まさに画期的なもので、当時の競技に大きな影響を与えました。多くの競技者がこの組み合わせを採用し、その恩恵を受けていました。まるでパターを使った競技方法に革命が起きたかのようでした。しかし、この固定打ちは、後に競技規則で禁止されることになります。道具の進化と競技規則は、常に関わり合いながら変化していくものと言えるでしょう。道具の特性を理解し、規則に則って正しく使うことが、ゴルフ競技を楽しむ上で大切なことと言えるでしょう。
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ゴルフにおけるアンカリング禁止とは

打ち玉を転がすための道具であるパターを使う際、その握りの端を体の一部に固定する方法をアンカリングといいます。この打ち方は、パターを体の軸に固定することで、道具の動きを安定させ、狙った場所へ正確に玉を転がすことを目的としています。 特に、長いパターや中くらいの長さのパターを使う際に、このアンカリングがよく使われていました。これらのパターは、長いため、玉を打つ際に道具がぶれやすく、アンカリングによってそのぶれを抑え、より正確な打ち玉を可能にしていたのです。 具体的には、握りの端を胸や腹に押し当て、支点とすることで、パターの動きを安定させ、玉の転がる方向と距離をうまく調整していました。この方法は、パターを使って玉を転がすのが苦手な人にとって、特に有効な手段と考えられていました。 しかし、このアンカリングという打ち方は、2016年のルール改正によって禁止されました。理由は、用具を使う技術よりも、体を使う技術で勝負するべきだという考え方が主流になったからです。今では、パターを体に固定せずに、腕や肩、体の回転を使って玉を打つことが求められています。 とはいえ、アンカリングが禁止された現在でも、かつてアンカリングを使っていた人にとっては、その感覚を体に染み込ませた経験が、安定したパッティングを実現するために役立っていると考えられます。過去の技術を参考にしつつ、ルールに則った打ち方で、技術を磨くことが大切です。