後方線上の救済：ゴルフの基本ルール

後方線上の救済：ゴルフの基本ルール

はじめに

芝の上で遊ぶ球技、それがゴルフです。広々とした緑の大地で、小さな白い球を専用の棒で打ち、穴に入れる競技です。一見単純そうですが、実はとても奥が深いのです。自然を相手に、風や地形を読み、狙った場所に正確に球を飛ばすのは至難の業です。そして、思い通りにいかないことこそが、ゴルフの面白さの一つと言えるでしょう。

ゴルフには、予期せぬ出来事がつきものです。例えば、勢いよく打った球が、木に当たってしまったり、水たまりに落ちてしまったり、深い草むらに埋もれてしまったり。このような、いわゆる「トラブル」に遭遇した時、プレーヤーは競技規則に従って、適切な処置をしなければなりません。その処置のことを「救済」と言います。様々な救済方法がありますが、今回はその中でも「後方線上の救済」について詳しく説明します。

後方線上の救済とは、トラブルに陥った球の位置から、穴に向かう直線上を後方にたどり、プレーの邪魔にならない場所を選び、そこから球を打ち直せるという救済方法です。まず、元の球の位置を確認します。そして、その位置と穴を結ぶ直線を思い浮かべましょう。その直線上で、元の球の位置よりも穴から遠い場所を探します。ただし、その場所は必ずしも直線上ピッタリでなくても構いません。直線から少し横にずれていても、元の球の位置と穴を結ぶ直線よりも穴から遠い場所であれば問題ありません。

次に、新しい球を置く場所を決めます。元の球の位置から、先ほど確認した穴から遠い地点までを測り、その長さを半径とした円を描きます。そして、その円の中で、プレーに邪魔にならない場所を選び、そこに球を置きます。この時、球を置く場所は、元の球の位置よりも穴に近い場所になってはいけません。また、球を置く際には、地面に直接置くか、ティーの上に置いて打ちます。地面に直接置く場合は、球を拾い上げて拭いたりすることもできます。

後方線上の救済を適切に利用することで、不測の事態にも落ち着いて対応し、スムーズにプレーを続けることができます。ゴルフのルールを理解し、正しくプレーすることで、ゴルフの真の面白さを味わうことができるでしょう。

後方線上の救済とは

競技の場にある障害物や、うまく打てないと判断した場所に球がある時、別の場所に球を動かしてプレーを続けることができます。これを救済といいます。後方線上の救済は、水たまりや池などのある区域（以前は水たまり障害と呼ばれていました）に入った球や、打てないと宣言した球に対して用いることができる救済方法です。

まず、球が水たまりなどに入った場合を考えてみましょう。球が最後に区域の境界線と交わった地点と旗竿を結ぶ仮想の直線を思い浮かべてください。この線が後方線上の救済の基準となります。旗竿から遠ざかる方向に、この線上を基準として球を動かすことができます。球を置く場所は、基準となる地点から自分の使うクラブの長さを半径とする半円形の範囲内です。この範囲は救済区域と呼ばれます。範囲の中に球を落とし、球が静止した場所に球を置いてプレーを再開します。

もし落とした球が救済区域の外に出てしまった場合は、もう一度落とす必要があります。救済区域の中に球が止まるまで、この動作を繰り返します。救済を受ける際には、１打の罰が加算されます。

次に、打てないと判断した球について説明します。この場合も、球のある地点と旗竿を結んだ線を基準に、旗竿から遠ざかる方向、つまり後方線上に救済区域を設定します。区域の設定方法は水たまりに入った場合と同じです。クラブの長さを半径とする半円形の範囲に球を落とし、プレーを再開します。この場合も１打の罰が加算されます。後方線上の救済は、困難な状況から脱出してプレーを続けるための手段の一つです。

救済エリアの決め方

まず、池や茂みなどの区域に入った球を取り出す際に、正しい場所を見つける手順を説明します。最初に、球が区域の境界線を最後に通過した地点を正確に突き止めなければなりません。この地点を基に、ピンとを結ぶ仮想の直線を思い浮かべてください。この線が基準となります。

次に、この基準線に沿ってピンから遠ざかる方向へ移動し、球を置き直すための基点を決めます。この基点の位置は、競技者が自由に選ぶことができます。ただし、基点からピンまでの距離は、元の球の位置からピンまでの距離よりも必ず長くなければなりません。つまり、元の位置よりもピンから遠い位置に球を置き直す必要があります。

基点を決めたら、その基点を中心として、ゴルフクラブの長さを半径とする半円を想像してください。この半円が球を置き直せる区域となります。使うクラブはパター以外であれば何でも構いません。置き直す区域は、基準線の後方にのみ設定され、基準線を越えてピン側に広がることはありません。

この置き直し区域内で、球を拾い上げて拭き、地面に直接置くことができます。球が一度地面に置かれた後は、その球を動かすことはできません。もし動かした場合には罰則が科せられます。競技者は、この区域内で最も有利な位置に球を置き直すことができます。例えば、傾斜が少ない場所や、次の打撃がしやすい場所を選ぶことができます。このようにして、規則に則り、かつ戦略的に有利な位置に球を置き直すことが、ゴルフでは重要です。

上記のルールを守り、正しく救済エリアを決定することで、スムーズな競技進行と公正なプレーができます。

ドロップの方法

まず、適切な救済エリアを見つけましょう。救済エリアとは、元のボールがあった場所から、罰打なしでボールを動かせる場所のことです。例えば、木の根っこが邪魔で打てない場合、木の根っこから２打棒分だけ後方の、木の根っこから２打棒分だけ左右の範囲が救済エリアとなります。

救済エリアが決まったら、肩の高さからボールを落とします。このとき、腕を水平に伸ばし、地面と平行になるように注意してください。腕を高く上げすぎたり、低くしすぎたりすると、正しいドロップになりません。また、ボールを投げたり、転がしたりするのもいけません。必ず、指先から自然にボールを落とすようにしましょう。

ドロップしたボールは、必ず救済エリア内に止まらなければなりません。もし、救済エリア外に転がり出てしまった場合は、もう一度同じ手順でドロップを行います。２回目にドロップしたボールも救済エリア外に転がり出てしまった場合は、ボールが止まった場所にそのままプレーを続けます。ただし、救済エリア外に転がり出たボールが、再び元の障害物や池などのペナルティーエリアに入ってしまった場合、あるいは岩陰などアンプレヤブル（プレー不可能）な場所に止まってしまった場合は、もう一度救済の処置を受けることができます。つまり、もう一度適切な救済エリアを探し、肩の高さからボールをドロップする手順を繰り返します。

このように、ドロップには正しい手順があります。正しい手順を守ってプレーすることで、スムーズな進行と公正なプレーができます。

ペナルティー

ゴルフの規則において、ペナルティーとは、規則違反に対する罰として打数に加算される罰打のことです。競技中の様々な状況でペナルティーが発生する可能性があり、その種類や適用される状況は多岐に渡ります。ここでは、後方線上の救済を受ける場合に発生するペナルティーについて詳しく説明します。

後方線上とは、ボールが最後にプレーされた地点からカップと反対方向に、ホールに正対する線上のことを指します。そして、後方線上の救済とは、紛失球やウォーターハザード、アンプレヤブルなど、特定の状況において元のボールをプレーすることが困難な場合に、後方線上にドロップしてプレーを再開できる救済方法です。この救済を受ける際には、必ず１打のペナルティーが加算されます。

例えば、ティーショットを打ち、ボールがペナルティーエリア（池や小川など）に入ってしまったとします。この場合、ペナルティーエリアに入ったボールをそのままプレーすることはできません。そこで、後方線上の救済を受けるという選択肢があります。この場合、ペナルティーエリアに入った時点での打数に１打のペナルティーを加算します。つまり、ティーショットが１打目であれば、ペナルティーエリアに入った時点で２打目となり、ドロップしたボールを３打目としてプレーを再開します。

また、アンプレヤブルのボール、つまり、プレーヤーが自分のボールをプレー不可能と判断した場合も、後方線上の救済を受けることができます。例えば、深い森の中や崖の下など、ボールがある場所からプレーするのが極めて困難な場合、プレーヤーはアンプレヤブルを宣言し、後方線上の救済を受けることができます。この場合も同様に、アンプレヤブルを宣言した時点での打数に１打のペナルティーが加算されます。仮に、２打目をアンプレヤブルと宣言した場合、３打目をドロップしたボールでプレーすることになります。

このように、後方線上の救済を受ける際には必ず１打のペナルティーが加算されるため、状況に応じて他の救済方法を選択することも考慮しながらプレーを進めることが重要です。

まとめ

ゴルフ競技には、ボールが打ちにくい場所に止まってしまう、いわゆるトラブルに陥る場合があります。そんな時、競技を円滑に進めるために、状況に応じて救済を受けるための様々な規則が定められています。その中でも、後方線上の救済は、池や深い溝といったペナルティーエリアからの脱出、あるいは木が密集している場所など、アンプレヤブルと宣言した状況から逃れる際に利用できる、重要な救済方法の一つです。

後方線上の救済を受ける場合、まず基準点を定めます。ペナルティーエリアからの救済では、ボールが最後に境界線と交差した地点からホールに近づかない側に基準点を定めます。アンプレヤブルの場合は、ボールの位置が基準点となります。次に、この基準点からホールと反対方向に、必要なだけ後方に直線を引いた線上に救済エリアが設定されます。この線は、本来であれば打つべき方向とは関係なく、真後ろに引きます。そして、その線上で、基準点からクラブの長さの範囲内に、かつ元のボールよりもホールに近づかない位置にボールをプレースできます。ここが新しいプレー位置となります。

後方線上の救済では、１打の罰打が加算されます。ペナルティーエリアの場合は、元のボールの位置からプレーを再開することも選択肢としてありますが、アンプレヤブルの場合は必ず救済を受けなければなりません。状況に応じて適切な救済方法を選択することが重要です。

ゴルフ規則は複雑で分かりにくいと感じることもあるかもしれません。しかし、一つずつ規則を理解し、正しく救済措置を行うことは、スムーズな競技運営につながります。そして、状況に応じた適切な対応を学ぶことは、コース全体を見据えた戦略、いわゆるコースマネジメント能力の向上に役立ち、ひいてはスコアアップにもつながるでしょう。ゴルフをより深く楽しみ、競技を円滑に進めるためにも、ゴルフ規則の理解は欠かせないと言えるでしょう。