
ロングパター:安定性と距離感
ロングパターとは、名前の通り、一般的なパターよりも柄の長いパターのことです。具体的には、柄の長さが通常の32から35インチよりも長く、46から50インチ、時にはそれ以上の長さを持つものもあります。別名「長尺パター」とも呼ばれ、その長さのために、独特の構え方と打ち方が必要です。
ロングパターを使う利点は、安定した打ち方と正確な距離感を得られる点にあります。特に、距離感の掴みににくい速い芝や、傾斜の強い芝の上、また緊張しやすい場面でのパットで力を発揮します。柄が長いため、小さな手首の動きを抑え、肩や体全体を使った大きな動きで打つことができます。これにより、パターの軌道が安定し、狙った方向へ正確にボールを転がすことが容易になります。また、振り子の原理と同じように、長い柄は同じ動きの大きさでもヘッドのスピードを安定させ、距離感を合わせやすくします。
一方で、その独特の形と使い方に慣れるまでには時間が必要です。短いパターとは構え方や打ち方が大きく異なるため、使いこなすには練習が必要です。また、持ち運びには専用のカバーが必要となるなど、取り扱いの面でやや不便な点もあります。さらに、2016年のルール改正により、体の一部を支点にする「固定」打法が禁止されました。以前は、ロングパターを体に固定することで、より安定したストロークが可能でしたが、このルール改正により、固定打法はペナルティの対象となりました。現在では、固定せずに使用することが認められています。
ルール改正後、ロングパターの使用者は減少しましたが、現在でも競技者から愛好家まで幅広く使われています。特に、距離感に課題を持つ方や、安定したパットを求める方に適しています。ロングパターは、独特の形状と使用方法から慣れが必要ですが、使いこなせれば大きな武器となる可能性を秘めています。