
時代を彩るヒッコリーシャフトの魅力
木の棒で球を打つ遊戯は、その起源を15世紀頃のスコットランドに持ちます。その頃から長い歴史の中で、用いる道具も時代と共に変化を遂げてきました。特に、ゴルフクラブの柄の部分は、様々な材料で試行錯誤が繰り返されてきました。数ある材料の中でも、19世紀から20世紀初頭にかけて主流を占めたのが、クルミ科の木であるヒッコリーです。
ヒッコリーは、その木質から独特なしなりと丈夫さを兼ね備えており、当時の職人たちはその特性を活かして、一本一本丹念にゴルフクラブの柄を削り出していました。手にした時の馴染みやすさ、そして球を打った時の独特の感触は、現代の金属製の柄では決して味わうことができないものです。熟練した職人技によって生み出されたヒッコリー柄のクラブは、まさに芸術品と呼ぶにふさわしいでしょう。
ところが、20世紀半ば頃になると、より軽く、より強く、そして大量生産が可能な金属製の柄が登場します。次第にヒッコリーは主流の座を金属に譲ることになりました。金属製の柄は、誰が使っても同じように性能を発揮する画期的なものでした。しかし、ヒッコリー柄のクラブには、それを使う人によって異なる個性がありました。まるで生き物のように、一本一本が異なる表情を見せるのです。
現在では、ヒッコリー柄のクラブを使う競技者はほとんどいません。しかし、ゴルフの歴史を語る上で、ヒッコリーは欠かせないものです。古き良き時代を象徴するヒッコリー柄のクラブは、コレクターや愛好家の間で今も高い人気を誇り、その価値は時を経るごとに増しています。彼らは、ヒッコリー柄のクラブを通して、ゴルフの原点に立ち返り、その奥深さを改めて感じているのです。